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みんなの想いが、1台のクルマになる

アルファード、ヴェルファイア、ノア、ヴォクシー、ハイエースの企画・開発から生産まで。
暮らしや仕事を支えるクルマはどのように生まれるのか。
完成車メーカー トヨタ車体のクルマづくりについて、アルファード・ヴェルファイアのチーフエンジニアである菅間さんに聞きました。

 人の暮らしに近いクルマだからこそ面白い 

― トヨタ車体のクルマづくりの魅力は何でしょうか。 

菅間:トヨタ車体は、アルファード、ヴェルファイア、ノア、ヴォクシー、ハイエースなど、ミニバンや商用車の企画・開発から生産までを担っています。

私自身、バンやミニバンの魅力は「人の暮らしに近いこと」だと思っています。家族で出かける時に使われたり、仕事で荷物を運んだり、人を送迎したり。生活の中で欠かせない存在なんですよね。だからこそ、空間の広さや使い勝手、快適性をどう両立するかを考える面白さがあります。

私は入社以降、約20年間シート開発に携わってきました。ミニバンのシートは、ただ座るためのものではありません。キャプテンシートなのか、ベンチシートなのか。どんなアレンジができるのか。実はそれがクルマの価値そのものになることもあります。

もともと機構やからくりを考えることが好きで、子どもの頃はクルマのカタログを集めて、「自分ならこの仕様にする」と考えていました。小学校の自由研究もクルマがテーマでしたね。そうした興味が、シートの動きや仕組みを考える仕事にもつながったのかもしれません。「どうすればもっと便利になるか」を考えながら開発するのは、本当に面白かったです。 

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みんなでつくる、1台のクルマ

― 1台のクルマは、どのようにつくられているのでしょうか。 

菅間:クルマづくりは、一人ではできません。例えばアルファードの開発でも、トヨタ自動車やトヨタ車体の関係者だけで2,000人から3,000人規模になります。そこにサプライヤーの皆さんも加わるので、本当に数え切れないたくさんの人が1台のクルマに関わっています。

具体的には、デザイン、内装、ボデー、エンジン、足回り、生産技術など、それぞれが異なる専門性を持っています。チーフエンジニアは開発責任者と言われますが、私は「先導役」だと思っています。

ただ、先導役が旗を持って立っているだけでは誰も動いてくれません。「どんなクルマをつくりたいのか」「お客様にどんな価値を届けたいのか」。そういう想いを伝えながら、多くの人に共感してもらい、一つの方向へ進んでいくことが大切です。

クルマづくりで一番感じるのは、自分一人では何もできないということです。だからこそ、各分野の担当者と会話し、知恵や情報を出してもらいながら、チームの力をどれだけ引き出せるかが重要だと思っています。 

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答えは現場にある

― クルマづくりで大切にしていることを教えてください。 

菅間:私が一番大切にしているのは「現地現物」です。やはり現場へ行かないと分からないことがあります。資料やデータだけでは見えない空気感や温度感があるので、重要な判断をする時ほど、できるだけ自分で見て、自分で感じることを大切にしています。

例えば、ヴェルファイアの開発では、実際にオーナーズクラブへ足を運んで、ユーザーの方の話を聞きました。そこで見えてきたのは、「広いミニバンが欲しい」ということだけではありませんでした。

家族ができてミニバンに乗るようになっても、走る楽しさを大事にしたい。スポーティーな個性も大切にしたい。そうした想いを持っている方がいることを、直接お会いして改めて実感しました。

お客様は「こうしてほしい」という想いは教えてくれます。でも、どう実現するかまでは教えてくれません。だからこそ、その言葉の背景にある本当のニーズを考える必要があります。ヴェルファイアでは、専用の外観だけでなく、エンジンや足回りなどにも専用の仕様を採用し、アルファードとは異なる価値を提案しました。

お客様の声をそのまま形にするのではなく、その先にある期待まで考え、具体的な構造や性能へ落とし込んでいく。そこにクルマづくりの難しさと面白さがあると思います。

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アイデアを形にできる環境

― トヨタ車体ならではの良さは、どんなところですか。 

菅間:人と人との距離が近いところですね。困った時に相談しやすいですし、部署を越えて協力しながら仕事を進めることができます。何か新しいことに挑戦する時も、別の専門分野の人と直接話し、解決策を一緒に考えやすい環境だと思います。

アイデアは会議室だけで生まれるものではありません。私自身、普段クルマを運転している時や家族と過ごしている時に、「ここはもっと良くしたいな」と思ったら、すぐにスマートフォンにメモしています。日常の中で感じた小さな違和感や気づきが、次のクルマにつながることもあります。

トヨタ車体には、アイデアを試せる機会があり、次のクルマにつながる技術やアイデアを部門を越えて考えています。大切にしているのは、出てきたアイデアを尊重することです。その人なりの気づきや理由があるので、どうすれば形にできるのかをみんなで考える。アイデアを試作品にし、実際に確かめ、商品へつなげていけること、またそれをサポートしてくれる環境があることは、トヨタ車体の魅力の一つだと思っています。

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クルマづくりは、まだまだ進化する

― これからのクルマづくりと、学生のみなさんへのメッセージをお願いします。 

菅間:自動車業界は大きな変化の時代にあります。でも私は、クルマにはまだまだ大きな可能性があると思っています。

クルマは単なる移動手段ではありません。家族との時間を過ごす場所になったり、仕事を支える空間になったり、人の暮らしの中でさまざまな役割を持っています。人の暮らしが変われば、クルマに求められる価値も変わっていくはずです。

これからは、車体やシートなど、これまで培ってきたハードウェアの技術に、ソフトウェアの力も加わっていきます。例えば同じクルマでも、ソフトウェアによって走りを重視した設定や乗り心地を重視した設定に変えられるなど、新しい価値を届けられる可能性があります。自動運転やAIとの連携もさらに加速し、クルマづくりはさらに面白くなっていくと思います。

だからこそ必要なのは、「こうだったらいいな」で終わらせず、「どうすれば実現できるか」まで考える力です。

みんなの想いをつなぎ、1台のクルマとして世の中へ送り出す。人の暮らしや仕事を支えるクルマを、自分の手で形にしたい。そんな想いを持った人と、一緒にクルマづくりができることを楽しみにしています。

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